fintechnews sg の記事より抄訳
世界的に経済に甚大な影響を与え、あらゆる産業を揺さぶっている新型コロナウィルス(COVID-19)。
今あるこの危機について考えるとき、フィンテックが2008年~2009年頃、グローバル金融危機によって発展拡大したのを憶えておくと助けになります。同様に、現在の状況でも、困難な時代でも有利なプレーヤーがいるはずです。
フィンテックの分野においては、資金調達面ですでにこのパンデミックの影響が見られています。この危機が起こるまで、ディールは過去最高を記録していましたが、 CB Insightsによれば、今回のコロナの大流行によりフィンテックディールは減少、歯止めがかかりました。
2019年12月以降、世界的にフィンテック企業への総ディール数と取引金額は減少しており、データ分析会社によると、アジア、ヨーロッパ、および北米は、数年ぶりに四半期ごとの最低ディール数を記録すると見込まれています。
資金調達額においても、CB Insightsによると、フィンテック企業は2020年の第1四半期に2017年以降は見られていなかった(少ない)レベルの約60億ドルを調達すると予測されています。
資金調達に加え、COVID-19パンデミックがフィンテック事業活動に与える影響は、分野によって異なります。 複数の専門家やアナリストによると、トレーディングやコンタクトレス決済を含む一部の業界は、短期から中期で押し上げが見込まれると予想されている一方で、チャレンジャーバンク(銀行免許を保持したデジタル銀行スタートアップ)やロボアドバイザーを含む他の業界は、景気後退が見込まれています。
<勝ち組フィンテック企業>
ベンチャーキャピタルファーム、Finch Capitalと共同で作成した分析で、ヨーロッパのハイテクメディアアウトレット・Siftedは、トレーディング分野のフィンテックとトレードインフラを提供するフィンテックがこのパンデミックの恩恵を受ける可能性が高いと主張しています。
Freetradeを含むヨーロッパの個人トレードアプリはすでにアカウント開設のブームを報告しており、米国拠点のRobinhoodは市場からの反応が大きかったため「大規模な機能停止」を経験しています。
「手数料ゼロのトレーディングスタートアップが新しいユーザーを獲得する機会である」と報告書は述べています。今、このようなスタートアップはこれら新しい顧客を繋ぎとめることにフォーカスし、基本的な株式トレードよりももっと利益の上がる商品の販売を推進するべきです。
パンデミックの中で急増している別のセグメントは、コンタクトレス(非接触)ペイメントです。
マッキンゼーの調査によると、消費者支出の減少による決済部門の全体的な縮小にもかかわらず、コンタクトレスペイメントはより衛生的な代替手段として認識されているため、急速に成長しています。たとえばドイツの銀行協会によると、ドイツでは、2020年の開始以降、非接触型銀行カード取引の金額が35%から50%に増加しています。
マッキンゼーの場合、COVID-19の危機は、決済部門を大きく変えるでしょう。 備えなければならない根本的な変化として、タッチレス/非接触決済の採用の増加、デジタルウォレットプラットフォーム内でのデジタルIDや取引監視、レポートなど機能の統合が含まれると同社は述べています。
最後に、盛り上がりが期待される別のセグメントは、フィンテックイネーブラーとインフラストラクチャプロバイダーです。Finch Capitalは、金融機関がデジタル化の取り組みを強化するにつれて人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、およびサービスとしてのソフトウェア(SaaS)の需要が増加すると予測しています。
<不調な企業>
好調な企業があるもう一方で、Siftedの分析によると、チャレンジャーバンク、外国為替、資産管理、ロボアドバイザー、オルタナティブローンなどのセグメントが今後6か月以内に最も苦戦すると見られており、収益とユーザーの減少を経験する可能性があります。
チャレンジャーバンクにおいては、金融の減速により(実店舗の銀行との)信頼ギャップが増幅される可能性があり、一部のユーザーはチャレンジャーバンクから預金を引き出し、従来型銀行口座に移すことさえ選択するかもしれません。
すでに、この分野の複数のプレーヤーがドイツのチャレンジャーバンク・N26の減速を目撃しています。具体的には、3月の終わりに、カードの販売やある市場での口座開設が減少していたと述べています。
為替取引業者も、特に小売取引と企業取引の両方で国境を越えた取引量が減少したことにより、いくらか落ち込みが予想されます。
ウェルスマネージャーとロボアドバイザーについては、金融の低迷は投資家を驚かせ、預金の引き出しを促す可能性があります。 一部の人々は、(ロボットではない)生身の人間によるアドバイスを提供するという快適さを実現しながら、手数料ゼロのモデルに対応する、既存の資産管理会社に切り替えるかもしれません。
最後に、より多くの中小企業がローンを焦げ付きさせたこともあって、代替融資の分野は困難に直面することが予想されます。 ピアツーピア(P2P)融資プラットフォームの場合、景気後退により貸し手のリスク選好度が低下し、プラットフォームオペレーターがローンの要求を満たすのに苦労する可能性があります。
今週初め、英国最大のP2P貸し手の1つであるRateSetterが、中小企業のローン不履行のリスクが高まっているため、売却を検討していたと報じられました。
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